湯灌師の給料は?年収を左右する4つの要素・将来性と湯灌師になる方法
納棺師、湯灌師
公開日:2024.05.07
湯灌師の給料は平均的ですが、働き方次第で高くすることもできます。また、湯灌師は高齢化が進む現代の日本で、ますますニーズが高まっている職業の1つといえるでしょう。本記事では湯灌師の仕事内容や、給料の額を左右する4つの要素、および湯灌師に向く人の特徴などについて解説します。
湯灌師の仕事内容
湯灌師(ゆかんし)とは、故人の旅立ちの手伝いである湯灌を行う仕事です。湯灌とは、故人を専用の浴槽にて清め、防腐処理や着替え、死化粧などを行い、納棺をする儀式のことです。
ただし、単に湯灌の作業をするだけの仕事ではありません。湯灌は遺族や親族が立ち合うケースもあるため、しっかりとしたコミュニケーション能力が必要となります。また、人の死を扱うことから、社会的意義のある仕事といえるでしょう。
また、給料は勤めるエリアや企業によって異なります。東京や大阪など都市部は給料が高くなる傾向にある一方で、地方は安い可能性があるため注意が必要です。
※1:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」における「その他の生活関連サービス業」の「きまって支給する現金給与額」×12か月分の金額+「年間の賞与額」の計算式で算出
※2:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」における「2 短時間労働者の賃金」の「生活関連サービス業,娯楽業」
一方で、葬儀会社の中に湯灌部門がある場合、給与水準は高い傾向にあるでしょう。ただし、葬祭業務全般を担当する可能性が高く、湯灌のみを専門で行うのは難しいといえます。
就職したいと考える地域が湯灌を行っているかどうか、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
エンバーミングを行うためには、エンバーマーの資格が必要です。エンバーマーの資格を取得する方法に関しては、下の記事を参考にしてください。
エンバーマーの資格について詳しくはこちら
厚生労働省によると、令和4年の死亡数は156万8961人(※)です。2040年には、死亡数は約168万人にのぼるとされています。
死者が出る限り葬儀会社の仕事はなくならないため、納棺師の需要は今後も高くなると見込まれるでしょう。
※1:厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」における「図4死亡数及び死亡率(人口千対)の年次推移」より
1.湯灌の準備をする
2.遺族・親族に湯灌の儀式の説明をする
3.故人を浴槽にて清める
4.着替えと死化粧が行われる
5.納棺をする
まず専用の浴槽や死化粧に使うメイク道具、故人の着替えなどをセットします。次に故人の肩や肘、手首などをマッサージして硬直をほぐします。
マッサージを終えたら浴槽へと故人を移動させますが、故人の肌を見せないよう布をかけるなどの配慮が大切です。準備を終えたら、遺族や親族へお声がけを行います。
湯灌の儀式では、故人の体を湯で清める逆さ水の儀を行うことが一般的です。逆さ水の儀は遺族や親族に、足元から胸元へ湯をかけてもらうという方法もあります。
顔を拭いて、髪の毛を乾燥させます。
死化粧は湯灌師にすべて任せられるケースと、遺族や親族に生前の表情や肌色を尋ねながら行うケースがあります。また、1〜4の過程の中で、必要に応じて遺体への処置を行います。
頬がこけている場合は口の中に綿を詰めて膨らませ、体液や出血が見られる場合は止めるための処置などが必要です。遺体への処置は遺族や親族に見せない形で行うことが大切です。
納棺を終えたら湯灌師は浴槽などを片付け、遺族や親族に最後の挨拶を済ませて退室するのが一般的です。
遺体に抵抗なく触ることができる
故人を前にして動揺しない精神的な強さがある
体力に自信がある
車の運転に自信がある
自分が「遺体に触れるかどうか」は、実際に仕事をはじめてみるまでわかりません。だからこそ、「本当に湯灌師として仕事をする覚悟があるか」を自分に問いかけることが大切です。
湯灌の儀式においては遺体の状態が悪いケースや、遺族や親族が動揺するケースも少なくありません。そのような場合でも、弱音を吐いたり目を逸らしたりできないのが湯灌師の仕事です。
また、1日に複数件の湯灌を対応するケースも多いです。予想以上に全身を酷使する仕事だと考えておきましょう。
そのため、車の免許があれば就職の際に有利になる可能性があるでしょう。
基本的に葬儀会社は死の現場で業務を行うため、就職希望者が多いとはいえないのが現状です。高齢化社会の日本では人手不足に陥っている企業もあるため、湯灌師になりたい強い気持ちや信念があれば、採用される可能性が高いといえるでしょう。
ただし、一人前の湯灌師になるには、専門技術や知識を身に付ける必要があります。インターネットで仕事内容を調べるだけでなく、実際に話を聞いたり勉強したりすることも大切です。
湯灌師の給料は一般的なサラリーマンに比べると低い傾向にありますが、経験を積んだりエンバーマーとしての資格を取ったりすれば、年収アップにつなげることが可能です。高齢化社会の日本では死亡数が増加傾向にあるため、湯灌師の仕事は将来性が大いに期待できると言えるでしょう。
湯灌師は故人を敬い給料をもらえる尊い仕事の1つです。湯灌師になりたい強い気持ち・信念を持つ方は就職・転職を検討するとよいでしょう。
高齢化社会の現代にますます需要が増加する湯灌師への就職や転職をお考えの方は、葬祭業界に特化したサポートサービスを展開している「葬祭ジョブ」までお気軽にご相談ください。
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ただし、単に湯灌の作業をするだけの仕事ではありません。湯灌は遺族や親族が立ち合うケースもあるため、しっかりとしたコミュニケーション能力が必要となります。また、人の死を扱うことから、社会的意義のある仕事といえるでしょう。
湯灌師の給料
湯灌師の給料は次の通りです。- ●正社員の年収:375.8万円(※1)
- ●アルバイト、パートの平均給料:1,211円(※2)
また、給料は勤めるエリアや企業によって異なります。東京や大阪など都市部は給料が高くなる傾向にある一方で、地方は安い可能性があるため注意が必要です。
※1:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」における「その他の生活関連サービス業」の「きまって支給する現金給与額」×12か月分の金額+「年間の賞与額」の計算式で算出
※2:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」における「2 短時間労働者の賃金」の「生活関連サービス業,娯楽業」
湯灌師の給料を左右する4つの要素
湯灌師の給料は平均程度ですが、努力次第で高くすることもできます。ここでは湯灌師の給料を左右する4つの要素を紹介します。- ●葬儀会社か湯灌専門の会社なのかで変わる
- ●地域の風習などで変わる
- ●エンバーミングの知識・技術があるかで変わる
- ●湯灌師の技術の高さで変わる
葬儀会社か湯灌専門の会社なのかで変わる
湯灌や納棺を専門に行う会社の場合、給与水準は低い傾向にあるでしょう。提携している葬儀会社から依頼をもらい、業務を行うためです。つまり、「葬儀会社の下請け」となっていることが多いため、給料も低くなってしまう可能性があります。一方で、葬儀会社の中に湯灌部門がある場合、給与水準は高い傾向にあるでしょう。ただし、葬祭業務全般を担当する可能性が高く、湯灌のみを専門で行うのは難しいといえます。
地域の風習などで変わる
地域の風習や宗教者の意向により、湯灌はせず納棺のみを行うケースがあります。湯灌を行う件数が少ないと仕事の件数が減るため、給与水準は低くなる可能性が高いでしょう。就職したいと考える地域が湯灌を行っているかどうか、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
エンバーミングの知識・技術があるかで変わる
いわゆるエンバーマーは給与水準が高い傾向にあります。専門性の高い技術が必要なためです。エンバーミングは遺体の一部を切開し防腐剤の注入をしたり、遺体の損傷が激しい場合、生前に近い状態に修復したりする業務を行います。エンバーミングを行うためには、エンバーマーの資格が必要です。エンバーマーの資格を取得する方法に関しては、下の記事を参考にしてください。
湯灌師の技術の高さで変わる
湯灌師としての知識や技術を身に付けることで、給与アップにつながるでしょう。さまざまな宗派に対応できるようになるためです。技術を高める方法はいくつかあります。- ●経験を積む
- ●湯灌・納棺の技術を学べる学校を卒業する
- ●納棺師認定試験を受ける など
湯灌師の将来性
湯灌師は将来性のある仕事です。超高齢化社会を迎えた日本では、死亡数が増加傾向にあるためです。厚生労働省によると、令和4年の死亡数は156万8961人(※)です。2040年には、死亡数は約168万人にのぼるとされています。
死者が出る限り葬儀会社の仕事はなくならないため、納棺師の需要は今後も高くなると見込まれるでしょう。
※1:厚生労働省「令和4年(2022) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」における「図4死亡数及び死亡率(人口千対)の年次推移」より
湯灌の流れと5つの手順
ここからは湯灌の流れを5つの手順に分けて紹介します。1.湯灌の準備をする
2.遺族・親族に湯灌の儀式の説明をする
3.故人を浴槽にて清める
4.着替えと死化粧が行われる
5.納棺をする
1.湯灌の準備をする
はじめに式場の親族控室、または故人が安置されている自宅で湯灌の準備を行います。準備は遺族や親族の許可を得たうえで、部屋を閉め切って行うケースが多いです。まず専用の浴槽や死化粧に使うメイク道具、故人の着替えなどをセットします。次に故人の肩や肘、手首などをマッサージして硬直をほぐします。
マッサージを終えたら浴槽へと故人を移動させますが、故人の肌を見せないよう布をかけるなどの配慮が大切です。準備を終えたら、遺族や親族へお声がけを行います。
2.遺族・親族に湯灌の儀式の説明をする
湯灌の準備が整ったら、遺族や親族に対して湯灌の儀式に関する説明が行われます。遺族や親族は説明を聞いたうえで、立ち会うかどうかを決められます。湯灌の儀式では、故人の体を湯で清める逆さ水の儀を行うことが一般的です。逆さ水の儀は遺族や親族に、足元から胸元へ湯をかけてもらうという方法もあります。
3.故人を浴槽にて清める
逆さ水の儀を終えたらシャンプーや髭剃り、爪切りなどを行い、シャワーで全身を洗い流します。顔を拭いて、髪の毛を乾燥させます。
4.着替えと死化粧が行われる
次に、着替えと死化粧を行います。仏教では旅支度として、笠・袈裟・手甲・杖・脚絆・白足袋・草履・頭陀袋・六文銭などが用意されますが、故人が生前愛用していた服への着替えも可能です。死化粧は湯灌師にすべて任せられるケースと、遺族や親族に生前の表情や肌色を尋ねながら行うケースがあります。また、1〜4の過程の中で、必要に応じて遺体への処置を行います。
頬がこけている場合は口の中に綿を詰めて膨らませ、体液や出血が見られる場合は止めるための処置などが必要です。遺体への処置は遺族や親族に見せない形で行うことが大切です。
5.納棺をする
湯灌の儀式を終えたら、故人を納棺して焼香を行います。納棺は遺族や親族が手伝うケースも多くなっています。納棺を終えたら湯灌師は浴槽などを片付け、遺族や親族に最後の挨拶を済ませて退室するのが一般的です。
湯灌師に向く人の4つの特徴
湯灌師は特別な仕事だと思われがちですが、次のような方に向いている仕事と言えます。遺体に抵抗なく触ることができる
故人を前にして動揺しない精神的な強さがある
体力に自信がある
車の運転に自信がある
遺体に抵抗なく触ることができる
まず、遺体に抵抗なく触ることができることが重要です。遺体に触れることに抵抗がある方には、湯灌の仕事は向いていないでしょう。自分が「遺体に触れるかどうか」は、実際に仕事をはじめてみるまでわかりません。だからこそ、「本当に湯灌師として仕事をする覚悟があるか」を自分に問いかけることが大切です。
故人を前にして動揺しない精神的な強さがある
湯灌師にはさまざまな場面で落ち着いて対応できる心構えが求められます。死を扱う現場では、感覚や感情よりも理性や冷静さが必要だからです。湯灌の儀式においては遺体の状態が悪いケースや、遺族や親族が動揺するケースも少なくありません。そのような場合でも、弱音を吐いたり目を逸らしたりできないのが湯灌師の仕事です。
体力に自信がある
体力に自信がある方は湯灌師に向いています。重さのある浴槽の運搬や遺体を持ち上げる作業など、湯灌師の仕事には体力が必要とされる場面が少なくありません。また、1日に複数件の湯灌を対応するケースも多いです。予想以上に全身を酷使する仕事だと考えておきましょう。
車の運転に自信がある
普通車の免許を持ち、ある程度の運転技術があると良いでしょう。葬儀の式場を複数持つ企業に勤務すると、湯灌専門の車両を運転して自宅や式場を周り、業務を行うケースがあります。そのため、車の免許があれば就職の際に有利になる可能性があるでしょう。
湯灌師になる方法
原則として湯灌師になるために特別な資格は必要ありません。葬儀会社や湯灌・納棺を行う会社に就職すれば、誰でも湯灌師になれるチャンスがあります。基本的に葬儀会社は死の現場で業務を行うため、就職希望者が多いとはいえないのが現状です。高齢化社会の日本では人手不足に陥っている企業もあるため、湯灌師になりたい強い気持ちや信念があれば、採用される可能性が高いといえるでしょう。
ただし、一人前の湯灌師になるには、専門技術や知識を身に付ける必要があります。インターネットで仕事内容を調べるだけでなく、実際に話を聞いたり勉強したりすることも大切です。
湯灌師は故人を敬い給料をもらえる職業
湯灌師は故人を敬い給料をもらえる尊い仕事の1つです。湯灌師になりたい強い気持ち・信念を持つ方は就職・転職を検討するとよいでしょう。
高齢化社会の現代にますます需要が増加する湯灌師への就職や転職をお考えの方は、葬祭業界に特化したサポートサービスを展開している「葬祭ジョブ」までお気軽にご相談ください。